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2021/01/22 column

[scene:column1] ブレンド作りのセオリーとは

※この記事はcolon coffee roastersの「カスタムブレンドキット『scene』」をご購入し、ブレンド作りをする方に向けた記事です。

コーヒーはとても身近なところにありながら、非常に奥が深く、普通に生活しているだけでは知り得ないこともたくさんあります。

例えば、ブレンド。

以前、コーヒー講座をやらせていただいた時、参加者の方に「ブレンドコーヒーってなんですか?」とたずねてみたところ、

「いつもの定番のやつ」
「普通のコーヒー」
「そういう種類・・・?」

など、色々な答えが返ってきました。
正確な答えは、「ブレンドコーヒーとは様々な産地のコーヒー豆を混ぜて作り出した新しい風味のコーヒー」です。

ブレンドコーヒーは、カフェのメニュー表の一番上に少し安い値段で書かれていることが多いです。
要するにその店の看板メニューなんですよね。その店らしいというか。
看板メニューがあると、店にもメリットがあります。
一番のメリットは、注文が集中すること。機械を使わず手で抽出するハンドドリップの場合、どうしても1回の抽出で5分程度かかってしまいます。

4人のお客さんが4種類のコーヒーを頼むと、20分。
4人のお客さんが全員ブレンドを頼むと、5分で済みます。
だから、安くてもしっかり利益が出せるというわけです!

ブレンドは、作り手の想いを込めればそれが正解

ブレンドに正解があるとすれば、それはどんな想いを込めたかという事です。
わざわざブレンドしなくても、他のブレンドしていないシングルの豆でかなり美味しいコーヒーはわんさかあります。

わざわざブレンドするのは、想いがあるから。
だから、個人的にブレンドを作る分には、ちょっと個性的な味も、ステキなんです。

とはいえ、キレイにまとまった、美味しいコーヒーを作りたい!!という方もいるでしょうから、下にポイントを書いていきますね。

初級編

ポイント1:焙煎度の近いものでまとめる

焙煎度とは、コーヒー豆の焼き加減です。お肉でいうなら、レア、ミディアム、ウェルダン・・・みたいな事だと思います。

colon coffee roastersで扱っているものでいうと浅いものから

ミディアム、ハイ、シティ、フルシティ、フレンチ

と5段階で焙煎しています。
例えばミディアムとフレンチを混ぜると、味がごちゃっとしてしまうことが多いです。なので、まずはおとなりの焙煎度合い同士で混ぜてみると無難です。

ポイント2:あまりたくさんの豆を使わない。

ブレンドするときに使用する豆の数が多くなればなるほど、味は平均的になっていくと考えています。

しっかりと個性を活かし、豆同士の良さを引き出すには、出来れば2〜3種類の豆でまとめたいところです。

2種類だと、好きな豆があるけど、ちょっと物足りない部分を他の豆で少し足す、というとてもシンプルな考え方で作れますよ。

中級編

ここからは、素材となるシングルのコーヒーの試飲をして、風味の特徴をとらえ実践する必要があります。

ポイント3:豆の役割を意識する。

ベースとなる豆、補助になる豆、アクセントとなる豆など、役割を意識して味を重ねていきます。

まずは、自分のイメージに一番近い豆や、好みの風味の豆をベースに選びます。
そのベースの豆に、例えばもう少し口当たりをまったりさせたいな、という時に舌触りがトロッとしたものを足したりします。
余韻が短いから長くしたい、すっきりさせたい、香りが弱いから足したいなど、足りないものを補うイメージです。

また、アクセントになる豆を少し入れることもあります。僕は、最後にフワッと鼻に抜ける香りを足したい時に香りが強いけど派手すぎるような豆をちょっぴり足したりします。

ポイント4:生産処理方法を意識する

コーヒー豆は、木になる果実の種です。この果実から取り出した種を、乾燥した生豆の状態まで処理することを、生産処理や精製などと言います。

この処理方法はいくつか種類があり、その方法によって豆の風味の特徴をある程度想像することが出来ます。ここでは詳しい方法を解説しませんが、代表的なものの特徴を挙げておくので参考にしてください。

・ウォッシュド
スッキリした風味。クリアで雑味が少ないことが多い。

・ナチュラル
果実の風味が強く、香りも豊か。ウォッシュドより雑味のあることが多い。

・パルプドナチュラル
ウォッシュドとナチュラルの中間。個性的かつクオリティの高いものも多い。

・スマトラ式
土っぽいエキゾチックな独特な風味。

ポイント5:風味のかけ離れた豆は近い比率で混ぜない

豆の風味には、何パターンか存在します。僕が意識している分類は、例えば、柑橘系、ベリー系、ナッツ系などがあります。
例えば、柑橘系とナッツ系を50:50で混ぜると、よく分からない味になっちゃうことが多いんですよね。
際立たせたい方の豆の比率を多くすることで、上手くバランスがとれると思います。

風味のバリエーションもたくさんあるので、「コーヒーフレーバーホイール」で検索してみてください。コーヒーの風味表現の一覧が見れますよ。

ポイント6:産地を意識する。

産地によっても風味に特徴があるため、ブレンドを作るときに産地情報は重要です。

大きくわけて、中米、南米、アフリカ、アジアその他とありますが、それぞれの特徴に傾向があります。
ポイント3〜ポイント5の風味を予測するのに、産地の特徴を覚えていると役立ちます。

ブレンドで使いたい豆の産地が、世界地図のどのあたりにあるのか確認しながら作ってみると、面白いですよ。

とにかく作ってみよう!

さて、百聞は一見(一ブレンド)にしかず、やってみるのが一番です!
コンセプトづくりと、試飲による風味の把握さえしっかり出来れば、お店で出せるようなブレンドコーヒーが作れるはずです!

それでは、楽しんで、作ってみてください!